非鉄金属について
非鉄金属について
読んで字のごとく、鉄及び鉄を主成分とした合金(鉄鋼材料)以外の金属のことです。
日本工業規格(JIS)では、部門記号Hに区分されています。
鉄と分類される理由として生産総量が鉄鋼の生産量に比べて圧倒的に少ない為、工業的、 経済的観念から非鉄金属として分類されています。
また、非鉄金属は「産業の母」と例えられる程、産業分野で広く利用されています。私たち
の身近なところでは10円玉や100円玉等の硬貨から、携帯電話、パソコン、液晶テレビ等の電子・電機部品、産業機械部品、建築材料、自動車、航空機、宇宙開発などにも重要な素材です。
主な非鉄金属とその用途
アルミニウム | アルミ缶、鉄道車両、自動車車体、自転車のリム、航空機材料等 |
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銅 | 電気器具の配線・回路・部品、10円玉等 |
亜鉛 | 乾電池の陰極板等 |
金 | 指輪などの装飾品、コンピューターの回路等 |
銀 | 写真の感光剤等 |
ステンレス | 厨房設備、鉄道車両の外面・部品、IH調理器対応用の鍋・やかん等 |
ニッケル | 変圧器の鉄心、磁気ヘッド等 |
アルミニウム及び
アルミニウム合金について
アルミニウムの特性としましては、主として以下の特性が挙げられます。
1.比重が小さい、銅や鉄の1/3の軽さ
2.熱伝導率が高い
3.低温下でも強度が変化しない
4.電導体として経済的である
5.アルミニウム自身で腐食を防ぐ-耐蝕性
6.加工性がよい-切断、曲げ、絞りなどの加工が簡単に出来る
7.電磁波や熱をよく反射する
特に、アルミニウムは金属の中では軽量である為に利用しやすい。
また、柔らかく展性も高いなど加工が簡単な性質を持つ、表面にできる酸化皮膜の為、耐蝕性もある。
アルミホイル、アルミ缶、鍋、アルミサッシ、道路標識、鉄道車両や自動車の車体、パソコンや家電製品の 筐体など、様々な物に使用されています。
しかし、そのほとんどがアルミニウム合金としての利用であり、1円硬貨のようなアルミニウム100%は稀な存在である。
主なアルミニウム合金
名称 | 合金の番号 | 説明 | 主な用途 |
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名称
純アルミニウム系
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合金の番号
1000番系
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説明
99.0%以上の純アルミ系材料。加工性・耐蝕性・溶接性に優れているが、強度が低く構造物には適さない。
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主な用途
ネームプレート・反射板・工業用タンク・装飾品
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名称
Al-Cu
銅系アルミニウム |
合金の番号
2000番系
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説明
ジュラルミンもこの合金系に属し、鋼材に匹敵する強度をもつ。
しかし、比較的Cuを多く含むため耐蝕性は劣る。 |
主な用途
2011・・・快削合金として機械部品
2014・・・高強度鍛造材 2017・・・航空機用材料 |
名称
Al-Mn
マンガン系 |
合金の番号
3000番系
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説明
Mnの添加により純アルミニウムの加工性、耐蝕性を低下させずに1000番系より強度を増した合金。
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主な用途
アルミ缶
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名称
Al-Si
けい素系 |
合金の番号
4000番系
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説明
Siの添加により熱膨張率を抑えて耐摩耗性が改善される。
Si粒子の分散により陽極酸化皮膜が灰色を呈する。 |
主な用途
鍛造用ピストン材料・ビル外装パネル
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名称
Al-Mg
マグネシウム系 |
合金の番号
5000番系
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説明
ニッケルシルバー、ジャーマンシルバーなどの別名を持つ。
特に耐蝕性、弾力性が良い。 |
主な用途
装飾品・食器・楽器・電気材料の部品など/div>
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名称
Al-Mg-Si
マグネシウム・けい素系 |
合金の番号
6000番系
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説明
耐蝕性・強度ともすぐれている代表的構造材。
6063番は押出し加工性にすぐれアルミサッシ材として使用されている。 |
主な用途
建築用サッシ・機械、自動車部品・船舶、車両構造組立材
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名称
Al-Zn-Mg
亜鉛・マグネシウム系 |
合金の番号
7000番系
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説明
アルミニウム合金の中で最も強度が優れている。
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主な用途
車両・航空機・スキーストック
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銅及び銅合金について
銅の特性としましては、主として以下特性が挙げられます。
電気をよく通す
熱伝導率が高い
非磁性
豊かな色彩美
優れた防蝕性
低温に強い
融合性が高い
(金、銀、亜鉛、錫、クロム、ニッケル等と容易に融合し色々な合金をつくる。)
容易なメッキ・半田付け
伸延性・圧延性がよく、加工が容易である
特に、有色金属は金と銅だけで、しかも銅には他の金属には出来ない黄金色合金がつくれる特徴があり、 合金色に着色を加えると、多種多様の色彩と美しさを発揮し美術工芸品、装飾品、建築内外装等に利用されています。
主な銅合金
名称 | 合金の番号 | 説明 | 主な用途 |
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名称
黄銅
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合金の番号
銅-亜鉛
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説明
亜鉛20%以上、真鍮とよぶことも多い。
特に展延性・絞り加工性・メッキ性が良い。 |
主な用途
カメラ・魔法瓶、ばね・機械部品などの深絞り用・自動車用ラジエーター・配線器具など
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名称
青銅
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合金の番号
銅-錫
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説明
銅を主成分として錫との合金。ブロンズ、砲金ともいう。
すず青銅、リン青銅、アルミニウム青銅、鉛青銅、シルジン青銅など多くの種類がある。 |
主な用途
10円硬貨・アクセサリー類の貴金属メッキなど
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名称
丹銅
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合金の番号
銅-亜鉛
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説明
亜鉛20%以下、ゴールドブラス、レッドブラスともいう。
特に絞り加工性・耐蝕性に優れている。 |
主な用途
建築用・装身具用・化粧品ケース・家具絞り加工用・ファスナー・製紙用金網など
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名称
白銅
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合金の番号
銅-ニッケル
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説明
ニッケル10-30%含む合金。
ニッケルの量の多いものは銀に似た白い輝きを放つので、銀の代用品として貨幣などに使われる。特に海水に対する耐蝕性が高い。 |
主な用途
50円、100円硬貨
海水淡水化の設備や船舶関連の部品など |
名称
洋銅
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合金の番号
銅-ニッケル-亜鉛
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説明
ニッケルシルバー、ジャーマンシルバーなどの別名を持つ。
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主な用途
飾品・食器・楽器・電気材料の部品など
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